NTT社長:澤田様のご講演を拝聴して (世界デジタルサミット2020)

お久しぶりです。

とぅってぃです。

 

今回は我らが澤田社長の講演について、まとめながら私なりに感じたことを補足するブログです。これは6月頭に開催されたやつで結構古いのですが存在を最近知りました。恥ずかしい。

こういう超お偉いさんのお話を聞けるのもなかなかないので、ちゃんと吸収しようと思い、記します。

 

 

「これからの社会の持続的成長に向けて」

この講演では、アフターコロナで社会はどうなっていくのか、それに対してNTTはどうアプローチしていくのか、という内容のものでした。絵空事のような面白い話も飛び出していたので一見の価値アリです。

 

1.パラコンシステントな世界へ向けて

澤田様はアフターコロナについて、2つの社会トレンドを提言しています。1つ目が、「パラコンシステントな世界」。ソーシャルディスタンスの確保と、経済活動の活性化を両立させる。このような二律背反する概念に対し、矛盾を許容しつつも双方をつなぐことをパラコンシステントと言います。

これまでとは全く異なるソーシャルディスタンスの世界。そんな予想外の世界の中で経済活動を維持するだけでなく、更に、活性化させる必要がある。そのための一つの解が、リモートワールドです。すなわち、分散化されたものを遠隔で動かしていく。

1-1.リモートワールドを実現する要素分解

そして、このリモートワールドを分解し、4つの要素を抽出しています。(ソーシャルディスタンスを確保するための要素)

1つ目に、「Stay Home」。在宅勤務に始まり、遠隔医療や遠隔教育など、これまで対面で行っていたことを、自宅から出来るようにする。実現はまだ先だと思われていたテレワーク等が、コロナで急激に導入されていきました。重要なのは、同時に生産性を上げること。コロナによる飛び級的な導入を、継続定着させなければいけません。

2つ目に、「DXの推進」。人の手で行っていた作業を、いかにデジタルに代替していくか。これに関してはコロナ前もずっと言われてきたことです。日本が抱えている少子高齢化・人手不足という社会問題をデジタルの力で解決する。達成までの道のりがコロナによってぐっと近くなったわけです。逆に言えば、アフターコロナでは社会課題の解決という大きな目線も持つべきだということです。

3つ目に、「空間情報基準の見直し」。これは初めて聞くような話でした。道路の幅、家の大きさ、ドアの幅。これらをソーシャルディスタンスを考えた基準で見直しをする。実はこういう単位は、昔に比べると小さくなっているらしいです。畳とか。小さくなってきたものを、ソーシャルディスタンスという新たな要件のもと、より大きくしていこうと。こういう考え方もあります。

4つ目に、「接触機会の可視化」。接触機会を減らすために、前提として接触機会を可視化しなければならない。現状、NTTはドコモが提供している空間統計は、厳密には接触機会では無いわけです(どのくらい人が居たか、程度)。ただ、これが限界。じゃあどうするかというと、中国は国がすべての個人情報を管理し、誰がどこに居たかを把握するシステムがあります。日米では個人情報保護の観点から、こういうことはしていません。感染機会に関しては、最近出したアプリ等で、有志で共有確認するという方法を取っています。日本においても、個人が見えない形で、個人の情報を管理する必要がある(接触確認には)。かつ、それをサイバーの中でデータとして取り扱う必要があるわけです。なおかつ、民主主義と両立させなければいけない。ここが難しい話だなぁと感じました。

 

1-2.サイバーの中でデータを扱う=デジタルツインの加速

今回のコロナ感染に対応するように、接触機会の見える化や危険度シミュレーションをするには、サイバー空間の中にリアルと同じものを作成する、言い換えれば、リアルを複製しデジタル化するというデジタルツインの世界が求められます。

 

1-3.NTTとして、リモートワールドをどう実現するか

ここまでは包括的な目線で社会に求められる要素でしたが、ここからはNTTとして、の話です。

まず、通信サービスを安定的に提供し、お客様を支援する。これは当然のこと。

5Gを活用し、生産性の高いリモートワールドの実現を手伝う(電子政府やテレワーク等)。そしてそれを安心して利用できるセキュリティソリューションの提供。併せて、DXの推進とスマートワールドの構築(トヨタと提携したスマートシティなど)を手伝っていく。

 

このようなことをしていくらしいです。いやアバウトか。

とりあえずここまでが一つ目の社会トレンドに関するお話でした。とにかく圧倒的なスピードで進むデジタル化を、現場規模でも、社会規模でも推進していく。かつ、推進する上でのセキュリティとのハードルもきちんとクリアする策を提示していくと、こういうことだと思います。

デジタルツインの世界は実現したらとんでもないなと思います。あらゆる情報をデータ化し、サイバー空間で処理することで様々なシミュレーションを可能にするわけですが、仰っていたように民主主義との並行がまた難しいなと思います。全体主義とは違うので、あくまでも民主主義に乗っ取りながら、「皆がデータ提供したくなる仕組み」づくりが重要かなと。

 

2.もう一つのパラコンシスタント

またよく分からん言葉出てきました。すぐ横文字作りたがる。

Nあるある。

澤田様はコロナによって「分断の時代」が加速されたと表現しています。ブレグジットや黒人差別など、コロナによって異常なストレスをもたらされた結果、社会そのものが変質していく=分断だと捉えています。

これまでは、ヒト・モノ・カネが自由に流通するグローバリズムが加速されてきましたが、パンデミック等の恐怖による分断の時代によって、ローカリズムの勢いが強まっています。

つまり、グローバリズムローカリズムのパラコンシスタント。(また出てきた) =ニューグローカリズムと表現するのが、2つ目のトレンドになります。

 

2-1.ニューグローカリズムの要素と帰結

 時代はグローバリズム。自由な流通、障壁の撤廃が進められてきました。

しかし、コロナによって経済は国内回帰が重要と見られるようになりました。自国ファースト、デカップリング、ブロック経済。色々社会の授業で聞いたことありますね。ある意味、過去に逆行しているとも言えるでしょう。

このニューグローカリズムによって生じる帰結は2つ。

サプライチェーンの変化(輸入→自国産へ。かつ、多元的に)

②経済安全保障の強化(自給・自立のために)

これに対し、NTTはどう取り組むのでしょうか。

 

2-2.ニューグローカリズムに対するNTTGの取り組み

NTTとしての取り組みは、

・信頼できるサプライチェーンを組む

「世界規模での分業」から、「信頼できる国・企業との連携」を重視する。

例として、三菱商事との食品流通における協業を挙げています。本来、原料→メーカー→卸→小売→消費者と繋がっていたサプライチェーンを、プラットフォームに一元化する。これによりAIでの需要予測やトレーサビリティを実現します。(NTTはデータプラットフォームやAI、通信等技術面を担当。三菱商事は、販売仕入データやリアル店舗等物理的情報を担当。)

・コネクテッドバリューチェーンの構築支援

上に加え更に、業界別にできているバリューチェーンを、業界を超えてまとめてしまう。上に比べてなかなか想像しづらい・・・

とにかく、業界ごとに分かれている商業的な繋がりを一つにまとめ、物流を速く・簡潔にするのでしょう。うん。

・エネルギーの自立

おそらく日本にとって一番の課題はこれで、澤田様もそう考えていらっしゃるから最近電力事業等に乗り出しているのでしょう。

環境負荷0のエネルギービジョンに向けて4つの取組みを更に細かく分けて紹介しています。

グリーン電力再生可能エネルギーの利用拡充。NTTは日本の1%の電気を使う会社らしい(とんでもない)。これを自分たちで作って自分たちで使えるような形にしたいそうです。更に、発電だけでなく蓄電も進めていきたいと。千葉では既にトライアルがスタートしているらしく、使わないビルでなんたらみたいなのも最近聞きますね。千葉の事業部の方、教えて下さいよろしくどうぞ。

②ICT技術等による社会の環境負荷低減。在宅での活動が増え、リモートが広がる世界は外に出かけない=エネルギーが抑えられる世界なわけです。実際、オフィス→在宅の変動でエネルギは7割位減らせると、NTTはの研究所がモデルを試算しているそうです。テレワーク環境等ICT技術を活かしたリモートワールドの実現で更にエネルギー負荷を低減すると。

③圧倒的な低消費電力の実現。この話には、あのIOWNが絡んできます。そういえば紹介していなかった…IOWNに関しては今度詳しく書きます。

簡単に言えば。「電気でなく光をベースにした新しい基盤」です。光電融合。これにより低消費電力化を図っていく。消費電力を1/100~1/1000までカットできるそう。すごい。

これに関してはintelと組んでやったりしてます。基盤づくり、高速ネットインフラ、SaaSの土台。

電気=電子の世界を、光=光子=量子の世界で実現する。これによりデジタルツインを完成させると。リアルで動いているものをサイバー空間上で再現し、シミュレーションや方向感を確認していける世界。どうなるかいうと、人それぞれ個別のパーソナルソリューションの実現ができるわけです。これまでは企業が何かをリコメンドしてきた「企業側の世界」だったものが、人々が自然に行動したり選んだり出来る「個人の世界」になっていく。個人のツインを活用することで、それぞれにシミュレーション等出来るようになる。皆にマネージャー・執事がついているというイメージ。

とにかくIOWN凄いんで今度また詳しく。以前ブログに書いたR&Dフォーラムはまさにこれ。自分と話す、なんてことも出来るようになるからぜひ見てください。

④新たなエネルギー技術の創出。7月頭に研究所作ると言っています(ほんとに作った?)。結構キテレツで面白い取り組みしてます。

核融合炉の本格的な運用。限りなく遅延のない、かつ大容量の通信が求められています。更にintelと共同でその処理を実現するコンピューティングを構築しなければならないと。

また、雷による充電。人工光合成

 

3.まとめ:メイドインジャパンの再興

もう一度メイドインジャパンを取り戻す。低価格低品質な海外製品に負けてきた国内企業。高価格高品質のブランドを確立し、自助・共助・公助の世界を実現していく。

 

 

 

いやなんか~横文字多すぎるし~話でかすぎてまじやばいんだけど~

 

NTTの存在価値は今後どう変化していくんでしょう。GAFAに追いつくには、黙ってても入ってくる膨大な顧客データを集めるプラットフォームが必要でしょう。グローカリズムの波に乗って、ついにそこに動き出すのでしょうか。

また、エネルギー事業はある意味インフラ会社としての尊厳を取り戻すような取り組みだと感じました。NTT発の電力を、光電融合の基盤に乗せ人々に届けていく…データは光となって集められ、デジタルツインが形成されていく…ザワザワ…?

 

普段下っ端で働いているもんで、こういうおっきな話を聞くとやっぱりワクワクしますね。なんだかNTTは、インフラから上をきっちり取りに行こうとしてると感じました。なんかそういう図なかったでしたっけ、GAFAがサービスからハード開発やビッグデータまで取りに行ってるよーみたいな図。もしNTTがビッグデータ取れるプラットフォーム作れたら勝てる企業はありませんね。インフラだけは、真似できない。

 

 

 

久々に書きましたが長すぎてこれ書くのに1週間かかりました。

本来やるべきことを見失いそうになる本業。頑張りまっする!

 

お疲れさんです~~